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宜志富紹長さんの語り

遊女の寝糞(しまくとぅば)

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【語りの梗概】

これは泊にね、この石灰岩さ、海のミカルーというものがあるがね、これを取っては灰焼きたちに売ったりして生活している人がいるわけさ。それで、二人とも貧乏者らしいのだが、一度、遊女の家にいっしょに行くとね、遊女がたいそうもてなしたらしいよ。もうこの友だちはほかの友だちに、おごってあげるほどのゆとりはないでしょう、そのことは友だちも知っているのだから。それで、遊女の家から帰って来て、おごられた人が、「どうしたんだ君は、私がいつも行くたびに、あんなふうにくれるけど、君も私も同じ貧乏者なのに、なせ君が行くと、あんなにあの遊女はおごるのか」と、聞いたので、クイシームンとは、貧乏者のことだからね、そのわけを話した。遊女は糞をしていないのだが、この客がね、「糞をしたい」と言って起こしても遊女が眠っていて起きなかったのでね、こうだったらしいよ。男はこの遊女の着物に、自分がやった糞を足も探してすりつけてしまってね、翌日遊女は起きようにも起きられなかったよ。起きたらほら糞をやっているのだから、もう自分でやったと思ってね、起きなかった。後はもう起き出してきてね、「もう私は、まだこんなことはしたことがないのですが」と言って、もう大変もう心苦しくしたそうだよ。それで男が、「いやもうこれは、こんなこともあるさ。世間にも誰にも何も言わないよ」と言ったので、「もうどうかそうして下さい」と、口止めをしようと何度も御馳走をするわけ。聞かさなければ、何ともなかったってよ。友だちだから告げ口するとは思わずに、話して聞かせたんだね。「実は、こうなんだ」と。

そしたらね、また今度は、友だちがこの遊女に言ったので、(その人が)もう一度遊女の家に行くと、今度はこの遊女というのにね、「あなたのような方は」と言ってね、棒を持って追いたてられたらしいよ。それで、この時から遊女は御馳走をもてなさなくなって、友だちも食いはぐれているわけさ。ほら友だちは自分で遊女に告げ口さえしなければ、男はいつも遊女におごられて御馳走を食べていて、自分もいっしょに、いつも御馳走にありつけていたものをよ。だから、この友だちにいっぱい食わされたわけ。それで、このものたちは食いはぐれたという話だよ。これを「友喰い餓鬼」と言うわけ。

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