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宜志富紹長さんの語り

馬乗り真謝(しまくとぅば)

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【語りの梗概】

あの話はこういう話なんだ。御城の石垣は、馬が登ると引き返すことができない幅だったが、そこに国王様の馬が登ってしまったんだ。だけど、その馬を降ろせる者は誰もいないもんだから国王は、「これは真謝にしかできない」と言って真謝に降ろすように言いつけたんだ。そしたら、真謝はその馬に乗ってすぐ前足をひっ立ててね、後足だけでふり向かせて降ろしたという話だよ。馬乗り真謝という人は、馬術家でいらっしゃるわけだ。

それからよ、この馬が薩摩に献上されるとね、むこうでは、人に噛みつく馬になってしまったわけだ。それで、今度はこうであったそうだ。「もう、これはわざと噛みつく馬を持たせたんだな」、あちらは怒ってしまって、その馬術家を殺す考えで、薩摩に真謝を呼んだんだ。それで、薩摩でのことであったらしいが、「どこそこで馬を走らせる」と言われたらしい。それで、そこには、穴が掘られて、下には槍か何かが立てられていて、真謝を落す考えであったらしいんだ。でも、真謝は薩摩に呼ばれる前に「旅に行ったら、女と知り会え」と、ことわざがあるように、薩摩の遊女と知りあいになっていたらしんいだ。そしたら、その遊女は、穴に落として真謝を殺そうとしていることを知っていたので、「明日は、どこそこに私が立っていますからね、あなたはそこに注意して下さいね」と、真謝に教えたそうだよ。それでね、真謝が、馬に乗って行ったら、女がそこに立っているので、すぐ馬を引っ立てて、ひとっ飛びしたそうだよ、この穴を。もう、難をのがれたそうだよ。そしたらもう、今度はよ、この薩摩はね、「もうこの馬は、真謝の馬だ」と言ったんだ。試そうと思って掘った穴さえも、すぐ馬を引っ立てて飛び越えさせたというのだからね。真謝は、それほど馬術が秀れていたそうだよ。それで、この馬をもらって、お帰りになったという話だよ。だから、馬乗り真謝の子孫は、馬肉を全然食べないそうだ。

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