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【語りの梗概】
弟が兄のなじみの遊女を知っているわけだね。それで、兄のなじみの遊女の家に行って、「兄さんは死んでしまった」と言ってね、この弟は葬式の御馳走を食べる考えでなんだね。そうして、遊女にもう葬式のしたくをさせてね、自分もいっしょに行って、町方にはあちこちさがせば近ごろなくなった人の新墓がたくさんあるそうだよ、そこに遊女を連れていって、兄の葬式をさせて、その御馳走を食べているわけ。そして、この弟は、この葬式のお土産を少し家に持って行ってね、少しは兄にも食べさせ、兄はどういうことか分らないわけだね。兄がただ食べていると、「食べたらもう恩があるんだよ」と言ったってよ。そうして、その後またこの兄がね、遊女の家に行ったようだよ。そうするとほら兄の葬式まですませているのだから、遊女はね、もう大変に驚いて、「あの世に行ってこの世と別れてからは、もうこの世をふり返ったりせずにそこに引っ込んでいて下さい」とすぐ、塩水をかけてよ、生きている人に。それでももう生きている人間だから、この兄は消えないさあね。それで兄が家の中に入って行って、「どういうつもりなんだ」と聞くと、遊女は、「あなたが死んだといわれて、あなたの弟といっしょに、私は葬式もすませたのですよ」と言ったので、この兄は、「こいつめ。弟に私はしてやられたんだな」と言ってよ。こんなに首里の人はいろんないたずらをするそうだよ。