※Flash Playerがインストールされていないと、正しく再生できない場合があります。
【語りの梗概】
それからね、坊主の話もあるよ。この坊主がね、女を連れて来て、ほら、昔は坊主には妻がいなかっただろう。仲のよい女を連れて来て寝かせてね。二人が話しているのをみんな小坊主が聞いたらしいよ。坊主が女の乳房を触わって、「ここは何と言うか」と聞くと、女が、「ここは乳丘城(ちーむいぐしく)」と答えた。乳丘城と。今度は臍を触わると、「ここは臍口平原(ふすぐちとーばる)」と。下を触わると、「ここは楽しみの沼(ぐむい)」と言って女が教えたそうだよ。そして翌日、この坊主は馬を持っていたようだが、馬もいたらしく夕べの小坊主に馬の世話をしてくるようにと行かせると、ただちょっとの仕事なのに、朝から出かけたままいつまでも、帰って来ないそうだよ。それで坊主が、「何だお前は、今まで」と言うと小坊主が、「ああもう馬を逃がし、乳丘城(ちーむいぐしく)に馬を逃がしてしまい、そこから追い下ろすと、臍口平原(ふすぐちとーばる)に逃がしてしまいました。臍口平原じゅう、この馬をつかまえるために歩きまわってね、そしてしまいには、楽しみの沼(ぐむい)に踊り込ませて、やっとつかまえて今帰ってきました」と言ったそうだよ。「乳丘城から馬を追い下ろすと、臍口平原、〈平原とは、広い所だろう〉臍口平原に逃がしてしまってね。臍口平原じゅう(馬を)追いかけ回して歩いていると、とうとう楽しみの沼にもぐり込ませてしまったので、やっとつかまえることができてただいま帰りました」と小坊主が言ったので、「ゆうべは、私たちの話を聞いたのだな」と思った坊主は、「お前はね、『聞いたことは聞き捨て、見たことは見捨て』とあるんだよ」と言い、そんなことは言うな、ということだね、まずそう言っておいたそうだ。