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宜志富紹長さんの語り

白銀堂由来(しまくとぅば)

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【語りの梗概】

(白銀堂は)拝みをする所なんだよね。沖縄の人が、本土の人からお金を借りてね、もう貧乏だったから払えない。二回、三回と催促しても払わないので、「もうお前から、私はお金は取らなくてもいいから、お前を殺そうな」と言うので、「待て、意地が出たら手を引け、手が出たら意地を引けという言葉がありますよ。あなたがもう一回いらっしゃる時までには、用意してお返しいたしますので」と答えた。それで、内地の人はこの願いを聞いてね、「それでは、お前はもう一回(私が)取りに来るまでには、借りたものは用意しておけよ」と約束した。

本土の人が家に行く頃は、夜であったそうだ。それで、今度は自分の妻が、男のそばで寝ていたそうだよ。それで、叩っ切ろうとしたらしいよ。だけど沖縄の若者の言葉をね、意地が出たら手を引け、手が出たら意地を引けと、思い出してね、「この若者がそう言ったのに」と、「これはまず起こしてみて、確かめてから叩っ切ろう」と考えて思いとどまったんだ。するとね、自分の母親が男の姿になって、自分の妻を、嫁を守って寝ていたそうだよ。この時、この若者の手が出たら意地を引け、意地が出たら手を引けという言葉を守らなかったら、もう自分の母親を殺していたんだ、この人は。それで、今度は本土の人は、「この若者から私はもうお金を取ってはいけない。この人は母の命の恩人なんだ」と考えた。

その後、本土の人が来たので、その間に、この若者は貧乏者なのだが、この借りたお金はちゃんと用意して、おいてあったそうだ。それで、本土の人が来たので、「もうあなたのお金を、私はちゃんと用意したから、お納めください」と言うと、「いや、私はお前のおかげで親を殺してしまうところを、親を殺すこともなく、妻を殺すこともなかったから、もうこのお金はいらないよ」と答えた。二人は「あなたがお取りください」、「お前が取れ」と互いに譲り合った。もう、本土の人も取らないし、また若者も借りたものなので、「取ってください」と言いあうばかりだったので、「それならもう、どこそこの前に埋めようね」と言ってね、それで、ここにお金を埋めたという話だったよ。

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