※Flash Playerがインストールされていないと、正しく再生できない場合があります。
【語りの梗概】
夫が、「辻(遊郭)に行く」と言ったら、妻は男が辻に行くと女郎を買うとわかっているもんだから、行かせたがらなかったそうなんだ。それでも、夫は行きたいもんだから、「よし、女郎は買わないで帰るから行かせてくれ」と頼んだら、ついには妻も許したわけさ。ところが妻はとても知恵があるから条件つきでないと行かさないわけよ。妻は小麦粉を水にといたものを夫のものに塗って行かせれば、夫のすることが分ると思って、それで、夫のものに水でといた小麦粉をぬって辻に行かせたわけだ。ところがやっぱり、この男は辻で女郎を買ったわけなんだ。男は翌日になって起きると、家に向かったが、崇元寺あたりまで来ると、妻にされたことを思い出したわけだ。「ああそうだ。そういえば昨晩はおれのものに小麦粉をぬりよったな」と言って、小麦粉を半斤買って来ると、その小麦粉を水にといてから、自分のものをひっぱり出してそこにぬってから、家に帰ったそうなんだよ。ところで、妻と夫の相談では、女郎は買わないと約束して夫は出かけているさあね。だから、夫は小麦粉を塗っておけば、ゆうべのとおりの印だから、それがあれば女郎は買ってないことになるという腹だったんだ。ところが、妻はとても知恵があって、小麦粉を水で溶かすときに、水に塩を入れてからとかしたものを夫のものに塗ってあったようなんだ。ものにね。それで、翌日妻が夫のものを見たら、夫が自分で小麦粉を溶かしたものにぬってあるもんだから、妻は、夫のものから小麦粉をつまんでなめてみたそうだよ。そうするとよ、ほら、夫は塩が入っていることは知らないもんだから、味のうすいものを塗ってあったわけだよ。妻は小麦粉をなめたら味がうすいので、すぐ、「これは味がうすい」と言って、夫の顔をなぐりつけたそうだよ。