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宜志富紹長さんの語り

名護親方 息子は神(しまくとぅば)

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【語りの梗概】

名護親方が勤めから帰る頃までにはな、子どもが床(とこ)にさげてあった掛軸の字を直してあったそうだよ。書き方が悪かったのか、間違いだったのか、直してあったそうだ。「不思議なことだ。私の書いた字というものを直す人が居るとは」と言って親方は後には忍んで、隠れて見ているとその子どもがもうそこに踏み台をな、何か箱のようなものを持ってきて、直していたって。そして、その子は三歳のときに亡くなったんだ、その子は。それで母親にしてみれば一人っ子を死なせてしまったので非常に悲しんで、毎日泣き悲しんでいたらしい。すると「おいこら、あれは私達の子ではないぞ」と言っても、妻は納得しなかったんだな。それで、名護親方が「よおー、それならお前は墓へ行って墓を開けて見てこい」と言ったので、妻が墓を開けてみると、りっぱに葬式をあげた子だというが、死体は全然なかったって。だから、この子は、人間ではなかったようだ。名護親方にはそれがわかっていたんだ。人間ではない、私の子ではないってことを。妻は、大事な一人っ子を死なせてしまったとばかり思っているから、非常に悲しんだんだな。そうではあったが、名護親方が「この子は私達の子ではないぞ」とおっしゃったそうだ。それで後は墓を開けてみると、墓には何もなかったらしい。

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