金城ナベさん(国頭村字与那)
金城ナベさんは、1891年2月1日に生まれました。聞き手は、沖縄口承文芸調査団の遠藤庄治さん、宮里さん、上江洲さん、1975年5月5日の記録です。
【しまくとぅば】
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【語りの梗概】
正月の夜に神様が乞食の姿になって天から降りてきた。その乞食は最初に金持ちの家へ行って一夜の宿を乞うた。その家の人は「あなたのような乞食を泊めるわけにはいかない」と言った。それからその乞食は貧乏人の家を訪ねた。その家には年寄り夫婦だけだった。老夫婦は火にあたたまって正月をおくろうと考えていた。乞食が訪ねて来たので「隣りに金持ちの家があるからそこに頼んでみたらどうか」と言った。乞食は「貧乏人の家に泊まりたい」と言った。それで泊まることになった。老夫婦が「食べ物はないので火であたたまってください。」と言った。するとその乞食は鍋を用意させて、その中に少しの粒を入れた。すると鍋いっぱいにご飯やご馳走ができた。一晩泊まって翌朝老夫婦に湯浴みさせると二人は若返った。若返った二人は隣りの金持ちの家に火種をもらいにいった。金持ちは若返った二人を見てわけをたずねた。今までの出来事を話すと、金持ち夫婦はその老人を呼び返し「私たちも若くなりたい」と言った。それで湯浴みすると金持ちは猿と烏になり山に逃げて行った。それからその家は若返った二人が住んだ。すると猿が毎日家にやって来て「私の家を帰せ」とうるさい。乞食は若返った二人に、「猿がいつも座る庭の石を焼いておきなさい」と言った。その通りにすると猿がいつものようにやってきて石の上に座った。猿の尻は焼けて赤くなり山の中に逃げて行った。それ以来猿のお尻は赤くなった。