沖縄伝承話データベース

東村の猿長者の語り

宮城幸さん(東村平良)

宮城幸さんは、1907年9月10日に東村平良で生まれました。聞き手は、沖縄口承文芸学術調査団の大本さん、1979年8月4日の記録です。

【共通語】

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【語りの梗概】

火正月をしている貧乏なおじいさんとおばあさんがいた。金持ちの家には下男もたくさんいて、米もたくさんあった。貧乏なおじいさんとおばあさんは、毎日金持ちの家にいって、叺についた一粒二粒の米をひろって生活していた。

大晦日に年寄りの白髪のおじいさんがやって来て宿を貸してくれと言った。隣にお金持ちの家があるからと言ったが、どんな家でもいいから君の家に泊めてくれと言った。このおじいさんが湯を沸かしなさいというので言うとおりにしたら、そのなかに何かを入れた。するとお肉やらご馳走やご飯が出てきた。翌日、元旦になったら又お湯を沸かしなさいと言うのでそのとおりにした。するとまた薬のようなものを入れた。このお湯に入るとおじいさんとおばあさんは若返った。そして神様はいなくなった。

若返ったおじいさんとおばあさんは隣の金持ちの家に挨拶にいった。金持ちは若返った二人を見て驚き、わけをたずねるので神様のことを話した。そして三日以内にまた神様がやってくるからそのときは金持ちの家に連れていくことにした。神様は隣の家でもお湯を沸かさせた。そして薬を入れた。金持ちたちがそのお湯を浴びると、猿や蛇やカラスになって家を出て行った。

神様は貧乏なおじいさんとおばあさんに金持ちの家に入りなさいと言った。すると猿が毎日家にやってきて庭の石に座り財産を返せとうるさく言う。そこでまた神様に相談すると、この石を焼いておきなさいと教えてくれた。言われたとおりにしておくと、この石の上に座った猿の尻が焼けた。

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