沖縄伝承話データベース

東村の猿長者の語り

港川次郎さん(東村慶佐次)

港川次郎さんは、1903年4月16日に東村慶佐次で生まれました。次郎さんは、この話を、お爺さんから聞いてたそうです。聞き手は、沖縄口承文芸学術調査団の屋比久さん、1979年8月3日の記録です。

【共通語】

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【語りの梗概】

やさしいおじいさんとおばあさんの夫婦と、非常に悪いおじいさんとおばあさんの夫婦がいた。やさしいおじいさんたちには子供がなく、二人暮らしだった。悪いおじいさんのところは非常に金持ちで食べるものも豊富だったので、ある大歳の日に、やさしいおじいさんは米二合と肉一斤貸してくれと頼んだが断られる。しかたなくおじいさんたちは火正月をしていた。

そこに年寄りが来て、「なぜこんな夜に寂しい思いをしているのか」と聞かれたので、やさしいおじいさんたちは「実はこうこうこうで仕方なしに火正月をしている」いうと、年寄りは「地炉のつるしかぎの鍋を火にかけなさい」と言うので、その通りにすると、その年寄りが匙で薬のようなものを鍋に入れた。すると肉になった。また飯ガマにも同じようにしてご飯が炊けた。神様は「君たちは何が望みか、お金か」と聞くので、「お金は要らないから若返ってみたい」と答えた。神様は「シンメーナービーに水を入れて火をたきなさい」と言うので、言うとおりにすると、神様は何か薬を入れて「これで浴みなさい」と言った。やさしいおじいさんとおばあさんがこのお湯を浴びると二人は若返った。

翌日、隣の悪いおじいさんたちのところに行くと、びっくりしてどうしてこうなったかを聞き出し、その神様の後を追って「私達も若返りたい」と言った。神様は同じようにお湯を沸かさせ、薬をいれて浴びるように言った。欲張りじいさんたちがお湯を浴びると、おじいさんは猿になり、おばあさんは白サギになって、家を出て行った。

神様は、やさしいおじいさんたちにこの家に住むように言った。すると毎日のように猿が来て「私の家だ」と騒ぐので縁起が悪いから、毎日猿が来て座る石を焼いておいた。そうとは知らずに猿は石に座り、尻を焼いた。そのせいで猿の尻は赤くなっている。白サギも毎日やってきて鳴くので、青い松葉を焼いてあぶった。すると白サギは真っ黒になった。

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