沖縄伝承話データベース

東村の猿長者の語り

宮里政英屋さん(東村宮城魚泊)

宮里政英さんは、1907年7月28日に東村美里原で生まれました。政英さんは、この話を夕食の後に、お爺さんから聞いて育ったそうです。聞き手は、沖縄口承文芸学術調査団の喜納さん、1979年8月2日の記録です。

【共通語】

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【語りの梗概】

昔、ある村に金持ちのじいさんばあさんと、貧乏なじいさんばあさんがいた。貧乏なおじいさんとおばあさんは正月をむかえるためにお金持ちのじいさんばあさんに「どうにかしてください」と頼みに行った。金持ちのじいさんばあさんは何もしてくれなかった。

それでどうしようもないので火正月をすることにした。二人が囲炉裏を前に座っていると、どこからともなく年をとったおじいさんがあらわれて、「今晩一晩泊めてくれ」と言った。ふたりはここには何もないから隣の金持ちの家に行ってくれと断ったのだが「どこでもいいから」というので泊めることにした。三名そろってお茶を飲んでいると、そのおじいさんが「隣の家から大きな鍋を借りてくるように」と言う。その人が鍋に水を入れて火にかけるとご馳走ができる。翌朝、そのおじいさんが、「金が欲しいか若くなりたいか」と聞くので、「若くなりたい」と言う。すると夕べ使った鍋に水を沸かして、その水を浴びるように言う。そのとおりにすると二人は若返る。

隣の家に鍋を返しに行くと若返った二人を見て、金持ちのじいさんばあさんがびっくりしてわけを聞く。わけを話すと欲張りなじいさんは馬に乗っておじいさんの後を追い、呼び戻す。そして「自分達も若くなりたい」と頼むと、「それなら鍋に水をわかしなさい」と言う。そしてお湯を浴びると、その家の人は犬や烏や猿に化けてしまい、家を出て行ってしまった。

天からの神様のおじいさんは、「この家はあなた達がもらいなさい」と言うので家をもらう。すると猿になったじいさんが「家を返せ」と何度もやって来て庭の石に座る。神様は「その石を焼いておくよう」にと言う。すると猿はその石にすわって尻を焼き、それから猿の尻は赤くなった。

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