稲福ナベさん(東村宮城魚泊)
稲福ナベさんは、1898年2月1日に東村宮城魚泊で生まれました。ナベさんは、この話を昔の人(知り合い)から聞いたそうです。聞き手は、沖縄口承文芸学術調査団の金城さん、1979年8月2日の記録です。
【しまくとぅば】
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【語りの梗概】
クングトゥヤタンリヨー(語り初めの言葉)、(旅のお爺さんが)金持ちの家に行って断られたため、今度は貧乏者の家に行く。隣に大金持ちがいるから、そこでお休みなさい、私達の家は悪いから、気持ちよく宿泊できないから、隣の家にご案内しましょうと言うと、私達は心を見ているのであなた方の家でなければならないと言う。貧乏者は、それではウガーサを切って来ましょうといってとってくると、それを敷いて休ませた。それは正月のことだった。貧乏人が、食べるものが何もなくて「今日は火正月するね、おじい」と言うと、その家に泊まりにきた人が「あなた方は若くなるのと金儲けるのとどっちがいいか」と言うので「若くなるのがいい」と言った。すると「隣の金持ちの家から鍋を借りてきて、ここに鍋をかけなさい」と言ったので、隣の家から鍋を借りてきて火にかけると、泊まりにきた人が一つの鍋にはご飯、もう一つの鍋には肉から何からすでに煮られたものを入れてくださった。翌日、その鍋を隣の家に返しに行くと、「あなた方は若返っているけど、どうしたのか」と聞く。天から大変なお年寄りが降りていらっしゃった。神様だったと思う。その人が「若くなるのと金儲けるのとどっちがいいかと聞くので、若くなるほうがいいと答えた。すると鍋にかけた水を沸かして浴びなさいと言うので、お湯を浴びるとこのとおり若返ったのだ。隣の家の金持ちは馬に乗ってその人を探しだして、「私達にも拝ませてください」と言うと「できない」と言われた。金持ちは猿になった。そして家も財産もすべて貧乏人のもになった。猿になった金持ちは毎日のように私の財産を返せといって家にやって来ては庭の石の上に座る。神様はこの石を火で焼いておきなさいと言うので,そのとおりにした。猿はその石の上に座り尻を焼いて、それ以来アカマイザール(赤尻猿)になったそうだ。