沖縄伝承話データベース

親川富二さんの語り

渡嘉敷ペーク 賭碁の褒美(しまくとぅば)

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【語りの梗概】

昔、渡嘉敷ペークーといって大変な頓智者(とんちもの)がいた。その人は、御主加那志と碁打ち友達で、御主加那志もまたこの渡嘉敷ペークーが来ないと、とてもさびしがったので、あるとき、「 渡嘉敷ペークーを呼んできてくれ」と言って使いを出した。そして、王様と二人でまた碁を打った。「さあ、この碁を打って、お前が負けたらどうするか。また私が負けたらどうしようか」と王様が賭けをして、「よし、もし私が負けたら、お前の望むもの何でもやるが、お前が負けたらどうするか」と言ったので、ペークーは、「はい、私が負けたらもう木に登って、蝉になります」と言った。「ああそうか。さあ、それなら勝負してみよう」と言って碁を打つと、この渡嘉敷ペークーが勝って、王様は負けたわけ。それでもう、王様が、「何が欲しいか」と聞いたので、「米俵が欲しいです」と言った。「そうか、それなら米俵を一俵やろう」と言った。すると、この渡嘉敷ペークーは馬の背中に米俵を積んだが、ちゃんとまっすぐに載せれば載るものを、ペークーは頓智者なので、馬の背中の片方に、その一俵の米俵を下げた。そしたら、この馬は下げたほうに傾いたので、「ああ王様、下さるなら二俵下さればいいものを。そうすれば馬にも載せやすいし、馬だって倒れ倒れしないですみます。だから、もう一俵ください」と言った。それで王様は、「それならもうこれは仕方がない。もう一俵やろう」と言って、そして、両脇に米俵を載せて帰ったという話ですけど。また、今度は、渡嘉敷ペークーが碁を打って負けたので、約束通り、ペークーは、蝉にならなくてはいけないと言って木に登ったら、「よし。今だ」と言って、王様がその蝉を突こうと、竿を持っていって、木に登っている渡嘉敷ペークーの尻を突いた。そしたら、そのときにペークーは小便をしたらしい。それで、もう王様は怒って、「早くここへ降りてこい。ただではすまさん。ただでは承知しないぞ」と言ったので、降りてきて、「何ですか」と言ったら、「お前、私は王様なんだぞ。王様に向かって小便をするということがあるか」と叱った。するとペークーは、「はあ、なるほどそうですか。で も、この蝉というのは、飛ぶ前に小便をするんですよ」と言った。王様は、「ははあ、そうなのか。それはもうお前の言うとおりだ。もうお前にはかなわないよ」と言ったそうだ。そういう話もある。

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