※Flash Playerがインストールされていないと、正しく再生できない場合があります。
【語りの梗概】
これ事実かどうか、そういったことだというような説です。士族のきれいな娘がいた。毎晩、年頃の美男子が娘のところに来ると、娘は術でもかけられたように居眠りしていた。毎晩同じ時間に男が娘の部屋に入り込んで来るので、家族も、「不思議だ。こりゃいかん」ということで、ある物分かりの良いお婆さんを連れて来て、「何とか打つ手はないか」と聞いた。お婆さん、これは普通の人間じゃないと察知して、「針に長い糸を通して、男が帰る時に、着物の裾かどこか適当なところに縫っておきなさい」と、娘に言いつけた。娘が男の着物に針をさすと、男は気がつかんでそのまま自分の家に行った。翌朝、糸の行っておるところを探って行ってみると穴があった。「これはもう大変だ。蛇だ」というわけです。アカマターに騙されて交尾して、妊娠したもんだから、「これはもう大変」と言って、そのお父さん、お母さんが浜のアダンのところに連れて行って、子供を産ませた。ところが皆人間じゃないから、アカマターとの子がたくさん産まれておるわけ。そういうことから、「旧の三月三日には、女は是非浜下りせないかん」と。こういう浜下りのいわれがあるわけです。