アカカナジャー蛸こわい
語り手は伊平屋村島尻の伊礼永吉さんです
昔、ある家の屋敷内に大木があって、大木に穴があいていた。この穴の中にアカカナジャーが住んでいた。アカカナジャーは、毎晩のように「今日も海行かないか。明日も海に行かないか。」と言うて、屋敷の主はしょっちゅう連れられて海に行きよった。アカカナジャーは魚を捕れば、身は食べないで、魚の目を必ず抜きよって目だけ食べていたそうだ。この人は、もう毎日アカカナジャーに引っ張られて海辺に行くので、「これは大変なことだ。」と思っていた。するとアカカナジャーは、いつも海にいるときは「蛸(ティヤチャー)を捕るなよ」と言っておったそうだ。それで、どうにかして、このアカカナジャーと離れなければならんと思って、あるとき蛸を捕ってアカカナジャーに投げたそうだ。そしたら、アカカナジャーは驚いて逃げて行って、この人の家へ行って寝かしている子供の目を抜いて、また海に走って帰ってきて、「とー、おまえ、家に帰ってごらん。家に帰って行って見てごらん」と言った。この人はね「何かしら」と思ってね、帰って来て見たらね、自分の子供の片目が抜かれていたそうだ。
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