沖縄伝承話データベース

アカカナジャーに騙された話

語り手は伊平屋村の西江幸徳さんです

これは、私自身にあったことです。私は蛸を取っても上手、魚も突いて採るのも上手ですが、二〇才ぐらいの場合に、かいぐうと言う海に海に漁(いじゃ)りしに行ったことがあるんですよ。行ってみたら、いつの間にか、3メーターぐらいの深さのところを着物も濡れずに渡って行ったことがあるんです。これは、「アカカナジャーが持った」と言うてるんですがよ。このアカカナジャーが持つと、海の上を歩いても、人を濡れさせないそうですよ。また持たれた人は、いつどこを歩いたのか歩くところも分からないそうですなあ。その例としてもう一つ、今老人クラブにおる西銘君は、74才ですが、あれが十幾つかの学校時代に、ちょっと昼間しているうちにアカカナジャーに持たれてしまったそうです。持たれてるというのは、アカカナジャーに化かされてるんでしょうなあ。そしてもうあっちこっち、どこを歩いたか分からんが、みんな探しても居らなかったところが、学校のモクバルの中に入っていたことがあるんです。もう一つまた、西べーチンの亀助(かみすけ)タンメー(爺さん)ですが、あれがまたスクマーイの場合に、あの我知名(がじな)のウルグチのところまで行ったらもう目が真っ暗になってしまって、その時はもう全然分からない。ぼーっとして歩いたところも分からなくて、五番地の家の酒樽釜(さきだりガマー)の中に入ったということがある。もう一つは、東江さんが、夜寝ているのをどうしたものか、アカカナジャーに起こされてしまって、ミーヤーて言う家の前に、大きなすり(棕櫚の木)があったんですが、そこまでもう駆け足で行って、棕櫚の木に登って、抱いて座っておったところを、みんなでつかまえて下ろされたことがあるんです。昔こんなことがよくあったそうですなあ。

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