沖縄伝承話データベース

大宜味村の猿長者の語り

上地マツん(大宜味村大保)

上地マツさんは、1908年4月19日に大宜味村大保に生まれました。マツさんは、この話を子どもの頃に年寄りから聞かされて育ったそうです。聞き手は、山岸信浩さん、1983年3月5日の記録です。

【しまくとぅば】

※Flash Playerがインストールされていないと、正しく再生できない場合があります。

【語りの梗概】

大晦日だったそうだが、貧乏暮しの年寄り夫婦で子供もない家があって、また、子供もいる金持ちがいらしたそうだが、神様が初めこの金持ちの家へいらして、「一晩泊めて下さい。」と言うと、「正月なのでできないよ。」と、この金持ちに断られてしまった。それで、神様がこの年寄りが二人いらっしゃる家へ行って、「今日、一晩泊めて下さい。」と言ったら、「私達の家は、大晦日ですが、米もなく御飯を作って食べることもできない。火正月をしているんだよ。こんなにしているけれども、それでいいならここで泊まりなさい。」と泊めた。すると、神様がジーハー〔簪(かんざし)〕で、昔の米を籠のあふれるぐらい出して、ここのこの年寄りにかきまぜさせたので、とてもたくさんになって、こうして、この神様がご飯を作って、年寄り達も大晦日の晩の御飯も立派にしたって。そしてこの金持ちがまた、真似をして、「この神様も私達にいらして下さい。」と言うと、「お前達は、精神が良くないので、全部何か化けなさい。」と言うと、この子供達が猿に化けて、毎日この年寄り達の前に、大きな石があったそうだが、この石にちょくちょくやってきて乗っているから、この年寄り達はいやだなと思ったんでしょうね。この神様に教えられて、この石をとても強く焼いて置いたので、猿はお尻を火傷してお尻が赤くなったそうだ。年寄り達に聞かされた子供のときの話だったよ。

>>  猿長者 TOP