沖縄伝承話データベース

大宜味村の猿長者の語り

山城光次郎さん(大宜味村田嘉里)

山城光次郎さんは、1892年11月22日に大宜味村田嘉里に生まれました。聞き手は、大城直樹さん、金城幸夫さん、比嘉和男さん、1983年3月3日の記録です。

【しまくとぅば】

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【語りの梗概】

(あぬよー)貧乏人のおじいさんと近所に金持ちの家があった。お正月の日、貧乏人のおじいさん達はお金がないけれど「正月はしないといけない」といって、近所の金持ちの家へお金を借りに行った。しかし、「お金を貸してもおまえたちがは返せないだろう」といって、貸してくれなかった。それで貧乏人のおじいさんは泣く泣く帰った。それからしかたがないので火正月をしていた。

そこへ、白髪のおじいさんが来た。おじいさんはナベを準備させて、そのナベの中に何かを入れた。すると、そのナベの中にごちそうがいっぱいになった。そのごちそうをみんなで食べて、そこで休んでいた。そのおじいさんが「おまえたちは若くなるのと、金とどちらがよいか」と聞くと、「若くなったら金もゆっくり儲けられますから、金よりも若くなる方がいい」と言った。「それなら明日の朝、若水を汲んでお湯を沸かしなさい」と言ったので、沸かして浴びると、おじいさんとおばあさんは若くなった。そしておじいさんは帰った。

それから金持ちの家に行くと、金持ちは「珍しいことだ。お前たちはどのようにして若返ったのか」と聞いた。「おじいさんが来て、若水を汲んで来て浴びなさいと言ったのでそのようにしたから若返ったよ」と言った。すると、金持ちが「おじいさんはどの辺にいるかな」と聞いたので、「その辺にいるだろう」と言った。そうすると、金持ちは一番早い馬で追いかけて神様の所に行ってお願いした。

自分たち同じようにお湯を沸かして浴びると、この家の主人から下男下女まで猿になってしまい、みんな山に逃げて入った。それで、白髪のおじいさんが、「これ達は猿になってここは誰もいないから、ここの財産はお前達がもらいなさい」と言われたので、そのようにしていた。

すると、夜になると猿がやって来て、「財産返せ、返せ」とうるさかった。それで、白髪のおじいさんにわけを話すと、「それなら真石を焼いてそこへおいておきなわい」といわれたので、そのとおりにすると、猿はその上に座って尻は焼けてしまった。そのため猿は赤尻になった。

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