沖縄伝承話データベース

萩堂盛樽さんの語り

渡嘉敷ペークー 急須(しまくとぅば)

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【語りの梗概】

渡嘉敷ペークーというと北谷出身の人でね、頭がいい人だったそうです。そうして、坊主御主(尚元王)は、元は王様であったんですが、その坊主御主が隠居して畑仕事をしていた所は、今の読谷の喜名という部落で、そこの西の方にね、今も坊主御主の屋敷とまた井戸も残っていて、その井戸は坊主井戸(ぼーじがー)と言って今でも拝む人が沢山いますがね、そこで百姓していたそうです。そうして、渡嘉敷ペークとは一番の友達で、渡嘉敷ペークは南蛮焼の小さな急須持っていた。南蛮焼というと沖縄では宝と言ってよく、簡単には手に入らないから皆が値段が高くても買うでしょう。坊主御主は、ペークに、「その南蛮焼の小さな急須をわしにくれんか。」と言ったら、ペークは、「ああ、差し上げてもいいですよ。」「それじゃ、くれよなあ。」と言ったら、「だが、その代り私が行く度に、酒を一合ずつ飲まして下さらないといけませんよ。」と言うと、坊主御主が、「うん、それならいいよ。酒一合ずつ飲ませてやるよ。」と言ったので、坊主御主が小さな急須を持って行った。渡嘉敷ペークは、その翌日から毎日、坊主御主の家においでになって、酒を一合飲むって。それで、毎日来るもんだから坊主御主はたまらなくなって、「もうお前のものは、ただより高いものはない。持って行けペーク。」と仰った。

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