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比嘉為昌さんの語り

為朝の弓(しまくとぅば)

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【語りの梗概】

源為朝は、大島からきたんだが、嵐になったので、「運を天に任せよう」と言って、着いたのが今帰仁の運天港といわれています。為朝は大里按司の妹を妻にして、尊敦を生んでいます。為朝が妻子と共に大和に帰ろうとしたとき、どうしても船が進まない。それで、「これは、女を船に乗せたからだ」と船頭達に言われて、止むなく妻子を牧港のテラブのガマに置いて大和に帰ったそうです。為朝の妻子が待ったので、そこを牧港と言ったというのは、有名な伝説です。 仲順大主を頼ってきた義本の祖父が、為朝の子の舜天王ですから、仲順大主を祀る上ヌ安里が、為朝が使っていた弓を祀っていました。為朝は、弓の名人で大変強い弓を引いたそうだから、この話が生まれたのでしょう。しかし上ヌ安里の家にあったのは、本物の為朝の弓であったそうです。弓は、私たちが童のころまであって、見せてもらいましたが、この戦世で無くなってしまいました。その他に弥勒もあったが、それも今度の戦でなくなっている。喜舎場に上ヌ安里の娘がいますから、あれにも聞いても分かりますよ。

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