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【語りの梗概】
次男と三男が盲目の母親を海に誘い、岩場にチニブ(萱でできた敷物)を敷いて座らせ、二人は漁に出る。そのうち潮が満ちてきたので、母親は、連れて帰るように言うが、二人は「まだ早い」と言って聞かない。潮がどんどん満ちてきて、母親はチニブとともにおぼれる。「助けて」と言うが、二人は陸に上がり逃げる。そこへフカがやって来て母親を助ける。娘が兄弟に「お母さんは?」と聞くと、「チニブに座らせておいたのに、どこへ行ったか分からない」と言う。娘は浜に出て泣き叫びながら母親を探していると、はるか遠くに母親の頭が見えた。「お母さん」と大声で呼ぶと、フカが母親を背に乗せて連れて来た。娘はフカが助けてくれたと喜んだ。次男と三男は、母親が無事に帰ってきたので驚く。フカは「ありがとう」と礼を言っても一向に去ろうとしない。胸ヒレで海水をバタバタ叩き、体の半分は水中に、上半分は砂地に掛けて何かを待っている。村人たちが集まってきて「これは何かわけがあるはず」と話し合って、豚かと聞くと違う。「牛か」と言うと嬉しそうにバタバタヒレを叩く。そこで村の若者たちが若牛を殺してその頭を差し出すと喜んで帰っていった。そして母親も家に連れ帰った。それから1、2か月後のある日、兄弟はサバニ(小舟)で漁に出た。波が高く荒れていたので、娘は心配したが、母親は家の四隅から萱を引き抜いてそれに火をつけ、屋根の上に上がってミフーイ(不明)を振った。それで兄弟の舟は沈没してしまった。