※Flash Playerがインストールされていないと、正しく再生できない場合があります。
【語りの梗概】
さあ、それでは話をしてみましょう、運玉義留と油喰坊主の話ですよ。運玉義留は士族ではありませんね。首里のお侍に使われているわけですよ。それで髪を結うときにですよ、「私らが勉強したらどのくらいまでなれるでしょうか」と言って、聞いたら、「きさまらどん百姓めはどうなったって村役人、地頭代主までさ」と、言われたんですね。「それなら、そのくらいになるより、どうせなれるものなら、名を売って名をあげる方がましだから、大盗人になって、あなたさまの金の枕を取りますよ」「お前が取れるものなら取ってみろ」と約束して、金の枕を取ることになったいるのさ。「ひといきに仕事をしょう」と言って、盗りに行く日取りも決めたから、その侍は、「これは盗られるかな」と思って枕を立てて寝ていたらしいですよ。寝ていたら、その時間になると、運玉義留が外に傘を張って、豆をパラパラパラパラーして落としてさ。それで、侍が、「雨だなあ。そんなら来ないなあ」って、ゆっくり寝ようとしていたら、今度は、運玉義留が手拭いを水に濡らして、それを絞って侍が寝ているところに垂らしたから、「あれまあ、雨だ」と言って、枕から頭を上げた瞬間に金の枕を取ってしまった。そして「それ見なさい。約束通り取りましたよ」と言ったからですね。侍は「そんなに早いやつか」と言って、槍ですぐ突いたらしいです。そのとき、運玉義留は柱をつかまえていたんでしょうよ。柱をつかまえて槍を抜いたようですが、「は、もうすこしだったね」と、言ったら、「あら、まだか」言っているうちに逃げたという話。それから付け加えての話なのですが、その運玉義留は運玉森で、また今度、油喰坊主に試験をして、「お前、仲間になってくれないか」と試験して入れたって。試験はどんなふうにするのかと思ったら、「銭も持たずに油買い行ってこい。」ということですよ。その昔の油壺ってあるでしょう。油喰坊主が油壺を持って油買いにと行ったらね、すると、一度買うと言って油を入れさせた後で、「お前たちのは良くないから買わない」と入れた油を戻したそうですよ。油壺の中には綿を入れて、その綿を絞ってはその油を溜めて、それでもう銭も持たずに買っているでしょう。「あっ、それならお前は知恵がある」と言って、試験は通っているのさ。それから二人で、また模合座をしている家に、「あなた方が模合座をしていにうちに模合座銭を取ってみせましょうね」と約束をするわけですよ。そのときは、油喰坊主が、「それで、どうして取るの」と言ったので、「さあ、それでは」と言って、昔は床だったから自然の筵を敷きましたでしょう。そうして模合座の臣下たちが、その証文入れの箱というのをこのように筵に押し付けたから、「さあ、これだけ押し付けているからね」と言って、そうして、「いいかい、油喰」と言ってから、証文入れの箱が筵に置かれると、「さあ、いまだ。」と言って、床下からぎしぎし鋸を引いて下から取ったという話もありました。