沖縄伝承話データベース

花城康福さんの語り

北谷シベー(しまくとぅば)

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【語りの梗概】

北谷シべーは、私達と同じ所の千原人でしたよ。屋号はミーフーガーシベーなのさ。腕力者で兎唇だったのがね、部落にある物は余り取らなかったって。そうして、大変才能があったわけさ。木を盗んだとき、約一里ぐらいあったのに木を括った注連縄があるが、その注連縄がひっきれたから、直線の道を這って、その縄小を引きずっりながら野里の付近まで、始終、「あっひょん、ほっほい」言いながらすぐ、一間ずつ、飛んだり落ちたりしながら、北谷シベーは土手を飛ぶ鳥と同じように歩いたんだって。そのくらいその筋肉が強かったって。また昔、山に薪取りに行くその場合に、山当というのがいて、北谷シベーが松の木に登っているときに、山当に見つけられて、「お前は下りてきなさい」と言われると、「嫌だあ。下りたら、殺されるから下りない」「殺さないから、下りてきなさい」「それなら殺さないか」と約束させてから北谷シベーは、松から逆さになって下りてきたって。それで、山当は驚いて逃げてしまったってさ。またそれとですね、昔は、監獄ってありましたが、塀の上には罪人が逃げないよに釘をしていたってよ。北谷シベーがそれを見て、役人に聞いたそうだ。「いったいこの釘は何のためにしているのか」「お前達が逃げないようにだ」と言われた。そしたら、北谷シベーは、「そんなら、逃げて見せようか」「逃げられるなら、お前が逃げてみろ」と言うから、北谷シベーは自分の着ている着物を濡らしておいて、その釘に引っ掛けて、ハイ、ヒャーと逃げてみせましてね、また捕まえたときね、役人が、「この釘で逃げられるなら、どうすればいいのだ」と聞いたら、「玉の破片を割ってきちんと立てなさい。そうすると逃げられないさ」と言って、それから塀に刺して置くのは、ガラス玉の破片になったという話。それから、北谷シベーは、更生しようとして久米島に行っていたが、やっぱし周囲が、「あいつは北谷シベーだってよ」と言って嫌な目でみたので、立ち直ろうとしたが、やっぱりまたも駄目になったという話。

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