沖縄伝承話データベース

花城康福さんの語り

北谷砂辺の風水(しまくとぅば)

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【語りの梗概】

昔のことですよ。砂辺の村の上には、クンノーイジー、ウカマジー、カーシヌシーと言って岩が三つ並んでありましたよ。その三つの岩は、霊高さんといって、昔は、赤ちゃんが生まれた場合は、だから霊高いその岩を拝みに行ったんです。そこの下に砂辺と言う村があるわけです。砂辺には、いい道が通っていません。むかし、砂辺からは、重い砂糖を担いで那覇へは行ったというじゃないですか。道も通らんうえに、そのシーの強い岩の先が見えるところだから、砂辺は風水が弱かったんでしょう。それで、子供が生まれても全部栄えなくてね、そうして、生まれるときにヤナムンが、魂を取りに来ると言うて、それで、子どもがウニンガーと言って、泣いて生まれたら、男だったら反対に、ウフイナグと、女が生まれたらウフイキガと言って嘘をついていましたよ。その砂辺に、グルンナーのアカルチ、クルルチと言う人がおったらしいですよ。その人は大へんな武士だったらしいですよ。その人が、「ここの風水は、このままではいけない。三つの岩のケーシを作ろう」と言って、砂辺の高い岩のてっぺんに、約二トンほどもあるかなあと思われる石なんですが、その石をはる上げてありましたよ。私たちは学校の童時代から、この石のことは、「あの石は、人があそこに座わらせているのだよ」と言って話を聞いて、本当にびっくりしましたよ。「昔の人はあんなにも力があったのか」と。そういうふうにして、今の第一ゲートの近くに風水返しがあったんですが、終戦後、それも無くなってしまいました。それから、ジャー(蛇)の口というのがあって、そのジャーの口が砂辺に向かって、「ガー」と言っているようでした。それもあって風水が弱かったと言うわけですよ。そうして、県道が出来て、鉄道が出来たときに、このジャーの首をすり消して道を造ったので、それから、砂辺は、だんだん栄えるようになったという自分たちのご先輩の話でありました。

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