沖縄伝承話データベース

百合若大臣の語り

宮国仙助さん(水納島・多良間村水納)

宮国仙助さんは、1907年11月17日に多良間村水納に生まれました。幼いころから年よりの話を聞くのが好きで、小学校を卒業したあと14、5才の時に、90才くらいの老人からこの話を聞いたそうです。1978年8月6日の記録で、聞き手は、沖縄国際大学口承研の辺土名さん、宮国さんです。

【共通語】

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【語りの梗概】

百合若の妻が美人なので、部下は横恋慕していた。部下は夜7夜、昼7昼、眠り続ける百合若を、6尺の剣を抱かせ筏で流した。

水納に漂着した百合若は、シャコ貝に水を溜めては飲料水とし、シブドゥ(はまぐり)を6尺の剣で採って食していた。

ある日、帰郷の日を祈って待っていると、百合若の元に愛鷹が妻の文を足に結んで飛んできた。百合若は小指を切って、血文字の便りを妻に送る。幾度か百合若と妻の交換が続いたが、悪天候のために鷹は死んでしまう。百合若は愛鷹が流れ着いた浜に鷹塚を造って弔った。

ある日、岸辺近くを船が通ったので、大急ぎ泳いで船まで辿り着き、便乗を頼み故郷まで帰った。ところが風貌の変わった百合若を分かる故郷の人はいなかった。自分の家まで行くと、部下が主になっていて、門番も立っていた。

百合若は正体を偽って、門番に鎧、弓、刀を見せてくれと頼むが断わられる。ところが主(部下)の許しで家内に入ることができ、蔵の中の百合若の鎧、弓、刀までも見せてもらう。百合若は見せてもらった鎧を着けると自分の正体を名乗り出て、悪だくみを働いた部下を殺した。

百合若の妻は部下を騙して貞操を守っていたので、再び昔のように暮らすようになる。百合若は水納島を第二の故郷として、部下のトカラヤマトピトー等を遣わし、島建てをさせた。

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