沖縄伝承話データベース

百合若大臣の語り

佐藤タミさん(秋田県鳥海町上平根)

佐藤タミさんは、この話を子どもの頃にお婆さんの従妹のお婆さんから聞いたそうです。聞き手は、日本民話の会の常光徹さんです。

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【語りの梗概】

江戸の町に夜な夜なふれて歩くものがいた。「玄海灘に鬼人がすみ、取っては食い取っては食い、取り尽くす」というものだった。百合若大臣が選ばれて鬼の征伐に行くことになった。

百合若大臣はゲンブ、シチブという二人の家来を連れて行くことになった。百合若大臣は鷹の緑丸と馬の鬼影、家族に別れを告げて弓と扇を持って船で玄海ヶ島にたどり着く。百合若大臣は鬼を弓であっという間に退治し、昼寝をする。ゲンブシチブはその間に、船を奪って弓と扇を持ち、逃げてしまう。百合若大臣は追いかけるが間に合わず、島に取り残され三年が経つ。

ゲンブ、シチブは都に帰り、鬼を退治したということで、天下様になる。百合若大臣の奥方は緑丸を放つと、玄海ヶ島に飛んでくる。百合若大臣は樫の葉に血で自分の消息を書いて放つ。奥方は百合若大臣の手紙を読んで喜んで、食べ物やいろいろなものを緑丸に背負わせて放つ。緑丸は嵐に会い海に落ちて死んでしまう。百合若大臣は海で緑丸の亡骸と荷物を拾い、丁重に葬る。奥方はゲンブ、シチブに結婚するように強制されるが拒否して島流しに会いそうになるが、村の娘が身代わりになる。

百合若大臣はそばを通る船を見つけて都に戻る。島暮らしで色が黒くなり、だれも百合若大臣だと気がつかない。百合若大臣は身分を隠してゲンブシチブの家の釜焚きになる。ある日、ゲンブシチブが弓の稽古にいくというのに同行して、大きすぎて誰も引けない百合若大臣の弓を引いてみせる。すると愛馬の鬼影が主人だと認める。ゲンブシチブは驚いて転げ落ちる。百合若大臣は再び、天下様になり、奥方と再会する。身代わりになった娘を連れ戻し、大臣の家来の立派なお侍と結婚させる。

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