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【語りの梗概】
、宮国の漁師が浜辺を廻っていると、男の子の入った箱が打ち上げられていた。漁師はその子を連れ帰って育て、成長すると自分の娘と夫婦にした。妻が妊娠しお産が近くなったある日のこと、男がご飯を作るよう言い付けたので、女は米を搗いて食事の支度をしていたが、その時オナラをした。男は怒って女を家から追い出す。その後、男が土地廻りで狩俣へ行くと、祝いをしている家があって、7,8名の女達がご馳走の準備をしていた。その中に手際よく仕事をしている女がいたので、男はその女を妻にしたいと相談する。女は、「自分と勝負して、勝てたら一緒になる。自分は朝ご飯のあと、山から芭蕉を取ってきて、それを紡ぎ一日で布が織れる」と言う。男は、「自分は山から木や薄を取ってきて、一日で家が造れる」と言う。それで客達の立ち会いで勝負が始まったが、男は負けてしまったので結婚を諦め、平良に戻りウンパ(役所)へ行って親主にそのことを話す。親主から「その女を妻にできたら、お前を親主にしてやる。連れてきなさい」と言われ、男は馬に乗って再び狩俣へ行き、事情を話して女を馬に乗せて連れてきた。その道中にクバの木があったので、男はその葉を一つむしり取った。そして馬が野原に差しかかった時、そのクバの葉で馬の尻を突くと、馬は驚いて走り出し、その拍子に女が馬から落ちそうになった。男は咄嗟にそのクバの葉を敷いて受けとめた。そのことで女は妻になり、そのことを親主に報告すると、「クバヌ葉豊見親」という名前をもらう。そして狩俣の家へ帰って牧場を作り、牛を飼って精いっぱい働いた。それから3,4年も経ったある日のこと、男の子がやって来て、門の石をボンボン叩いた。「どうしたんだ?」と聞くと、「自分は宝の西瓜の種を売り歩いているが、これはオナラをしない女に植えさせないと生えない」と言う。「オナラをしない女などいない」と言うと、「それではどうして私のお母さんを捨てたか」と答えたので、自分の息子だということに気付く。父親はその子を牧場へ連れて行き、「一番いい牛を上げよう」と言って一頭の牛を引っ張ってきたが、子供はその牛はもらわず、一番やせた母親牛を選んで、それをもらって帰る。そして宮国一の高い所に牧場を作り、そこで母牛を鳴かすと、父親の牧場の牛が全部そこに集まってきた。父親が取り戻しに行くと、子供は「これらの牛は私が連れてきたものではない。自分たちで勝手に来た」と言ったので、父親は仕方なく手ぶらで帰り、牛は子供の物になった。