沖縄伝承話データベース

喜原カナさんの語り

黄金子猫(しまくとぅば)

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【語りの梗概】

親は大変雷を怖がる人だったらしい。その母親が亡くなって、ある日、雨が降って、大きな雷が鳴った。兄と弟がいたので、弟が、「兄さん、今日はあんなに雷が鳴ってるのに、アンマー(お母さん)は近ごろ後生(ぐそー)に行かれて驚いているかもしれない。でぃかぁ、お墓の前まで行ってみよう」と言ったら、兄さんは、「死んだ人が怖いということがあるか。行くならお前一人で行け」と言って、行かなかったって。弟はアンマーのお墓に行って、「アンマー、今日は大きな雷がなりましたが、びっくりしませんでしたか」と言ってお墓を開けたら、棺桶(かんおけ)の上に猫が座っていたんだよ。弟は、「これは、私のアンマーの魂にちがいない」と思って、家に連れて帰って養ったら、これがもう黄金だけまってね。それで、いっときのうちに、二、三年で、弟は金持ちになった。そしたら、兄さんが言った。「お前は人のものを盗んで、いっときでこんなに金持ちになったのか」「私はこうこうこういうわけで、アンマーのお墓に行ったらね。アンマーの棺桶の上に猫が座っていたからさ。アンマーの魂だと思って家で養ったら、これが糞をまる分みんな黄金になって、それで私は金持ちになったんだよ」と言ったので、兄さんは、「だぁ、それなら私にも貸しなさい」と言った。弟が貸してあげて兄さんの家に行ったら、この猫は糞ばっかりまってよ。糞ばっかりまったから、兄さんは怒って、その猫を取って投げて殺したらしいな。弟が、「だぁ、あの猫は」と聞くと、「私の家に連れて来たら糞ばかりしたから怒って殺して畑に投げたさ」それで、弟は猫を拾ってきて、家の庭に崇めて葬って、これの上に木を植えた。そしたら、その木に成る実はみんな黄金になって、よけい金持ちになったという話。これは親孝行の話。

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