沖縄伝承話データベース

根保加那七さんの語り

嘘比べ2(しまくとぅば)

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【語りの梗概】

この時代まで沖縄は、こちらへんから勝連(かっちん)具志川に行くほどのお金もないくらいの世(ゆー)だったけど、この家は大変な財産持(む)ちで、どこにも見劣りしないほどの家だったって。この家の長男は唐旅に出て、次男は大和(やまとぅ)に、三男はもうどこにも行かないで、家で親といっしょに畑仕事ばかりをやっていた。三男はどこにも行ってないから、上の兄弟がいじめたようだなあ。あるとき、長男が、「唐で見た太鼓は、こんなに大きくて、まだ誰も見たことがないだろう。俺だけが見た」と言ったって。また、次男が、「俺が大和に行ったときに、鹿児島の殿様の風呂は、池ぐらいあった。殿様は風呂桶の中を泳いでいらした。これほどの風呂桶は誰も見てないさ」と言うと、三男が、たとえば、ハナリだったら、「私が見たこの牛は桃原(とーばる)の崖に後ろ足を立てて、前足は平安座のヌーに置いて、勝連(かっちん)の先をまわって、この平安座の前で竹を倒して葉を食べよった。これは私が見た珍しいもの」と言ったそうだ。兄たちは、「お前は嘘つきだ。これほどの牛がいるもんか。桃原の崖から平安座に足をかけるほどの牛がいるというのか」って言ったって。三男は頭がいいから、「私が嘘だったら、兄さんたちが言うのも嘘だ。兄さんが唐で見た太鼓は、私が言った大きな牛の皮で作ったんだよ」と言って、長男を負かしたって。それから、「兄さんが鹿児島で見た殿様の風呂桶のタガは、私が見た牛が食べていた竹で作ったもんだよ」と言って、次男を負かしたって。

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