沖縄伝承話データベース

根保加那七さんの語り

イソーサグムイ(しまくとぅば)

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【語りの梗概】

屋我地にあった話。赤ん坊を二人産んで女の親(母親)は死んで。死んだので、夫はまた妻を探したんだが、後妻との間に子供はなかった。ある夜、夫婦で「漁(いざ)りに」といってランプ持って海に行ったって。魚捕ったり、蟹捕ったりしに行ったんだな。取ってきて、もう寒かったから、夫婦は地炉(じーる)に火(ひー)つけて、あったまって、居眠りしよったらしい。二人の子どもたちは裏座で寝ていたが、ご飯も食べてなかったから、「今、蟹も焼いて、魚も焼けたから起きて食べなさい」って親が言うと思って、眠れないんだ。継親(ままうや)だから、自分らから言えなかった。またこの継親でも、継子(ままこ)だからって意味じゃないが、もう寒いから、火の傍から離れて子供たちを起こしに行くのが面倒で起こさなかったんだな。そしたら、妻がい眠りして、うとうとしていたから、夫が妻の乳をつかんで、「こっちは何か」って言った。「こっちはチームイグシク(乳森城)だよ」って妻が相手していたから、今度はこのオヘソの方に手を持ってきて、「こっちは何か。」って聞いた。「こっちはフスグチトーバル桃原(臍口桃原)」って答えたって。三回めには、あたりまえ、他のところ(陰部)にくるから、「こっちは何か」と聞いたら、「こっちはイソーサグムイ(楽しい池)」そうしてこれからことが始まって、二人頑張ったんだろうな。子供たちは起きていたから、親がするのを見てたんだ。翌日、親は漁りに行って疲れていたから、朝寝してるんだなぁ。子供が起きてから、家の後ろに下げてある鎌を取って、牛小屋に行ったらしい。そして、つないである牛の鼻先の綱を解いて、急いで牛引っぱって、家の門に入ってきたって。親が起きて来て、「なんで、この牛はどこ行ったか」って聞いたから、「私がしっこするって起きて外に出たら、門の方から牛が逃げて行きよったんだ。捕まえるって追って行ったら、チームイグシクに飛び登って、こっちでも捕まえられずに、こっちから追いこんでフスグチトーバルに行ったら、そこでも捕まえられないで、イソーサグムイに飛びこんだから、やっと捕まえることができたよ」って。それで、この継親はそれから、子供たちが起きてるときに夕飯も食べさせたって。「子供が起きているときに、夕飯も食べさせてからよく寝かせなさいよ」と言うのは、この道理だよ。

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