沖縄伝承話データベース

蔵下真知さんの語り

仇討ちをあきらめた話(しまくとぅば)

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【語りの梗概】

大昔、八十歳あまりなる老人が山から薪をかついで来る時に、青年が「私がかついであげるよ」といって、一緒にかついでやる。そのときに、「爺さんは何故、子がいないのか、この歳で薪木をかついでいるのか」といったら、「私は二・三人の子供がいたが、若い頃に人を殺した為に、その罪で子供を取られ皆いなくなってしまった。だから今となってもこのような薪木をかついで苦労をしている」といった。これを聞いて、青年は、「これは私の親の敵ですね。いつか仇を討たなければならないと思っていたけれど、この人は私の親の苦労をしているのだから赦してあげよう。こういう人は赦そうと心で想い、口にして、口に吐いた。家に帰って「父親を殺した人を私は今日、連れてきた」というと、「どうして連れてきたのか」と尋ねられて、「こういうことだ」と言った。すると家族のみんなも、「はーなるほど、あの人がそういう訳でお父さんを殺してしまったんだね」と言って赦したという話がある。

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