沖縄伝承話データベース

宮国岩松さんの語り

三人坊主の話(共通語)

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【語りの梗概】

ある所に三人の坊主がいて、一番上の坊主をウマ坊主、次にナカ坊主、それにニーニンガマという名前であった。ある日、芋掘りに行き、芋を掘って帰って来た。ウマ坊主とナカ坊主は用事があるからと言い、帰ってくるまでに芋を煮て、おにぎりにしておくよう命令した。そのニーニンガマは煮た芋が余りにおいしかったので、全部食べてしまった。食べた後、先輩達が帰って来たら何と言おうかと心配し、悪いと思いながらも自分のウンコ(排便)をおにぎりにして置いた。しばらくしてウマ坊主とナカ坊主が帰ってくると、ニーニンガマは木の上に登って彼らの様子を見ていた。彼らがウンコを芋のおにぎりだと思い食べているので、木の上から「あなた方は私のウンコを食べている」と言うと、木の上から引きずり降ろされ、「どういうことか」と聞かれたので、「余りおいしいものだから、全部食べてしまった。仕方がないので自分のウンコをおにぎりにした」と答えると、「悪いことをしたので絶対に許せない」と言って小さな舟を造ってその中に押し込み、蓋をして釘付けにして、「あなたが良い心を持っているなら良い所へ行くだろう。悪い心を持っていると悪い所に流れていくであろう」とお祈りをして流した。だんだん沖の方へ流れ、ある島の海岸に流れ着いた。その島は鬼ケ島で、鬼が中を開けて見ると人間だったので、今晩のおかずにしようと家に持って帰り、金網の中に入れて天井にぶら下げておいた。鬼の夫婦二人はヌンジュ(モーアーサ)を拾いに行ったので、その間、子供達はその下に来て、「自分はあっちが食べたい、こっちが食べたい」と騒いでいた。ニーニンガマは子供達に、「私を降ろして金網から出してくれたら、君達の好きな所を食べさせてやるよ」とだまし、「父親が大事にしている物は何か」と尋ねると、子供たちは「飛べる着物と、呪いと繁盛する角がある。角をたたくと繁盛する。そしてまた角をたたくと憎いヤツが死んでしまう」と言う。ニーシンガマは、それを取りに行かせ、大事な物を受け取ると、「屋根の上まで、ちょっと飛んで見て来る」と言って、飛べる衣を着て、「憎いものは死ね」と言うと死んだ。そして、畑仕事をしている鬼夫婦の上に行くと、オヤジが見上げて「おかずが逃げて行く」と言って、追いかけ」て来たので、呪いの角をたたいて殺した。そうして島に無事帰って来た。それから兄弟の所へ行き、「悪いことをして悪い所へ行ったけれども、幸い無事生きて帰って来たので、これからは悪事は働かない」と言って三人仲良く暮らした。

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