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【語りの梗概】
この人は、神様だけど、ここ(地上)へ来て正月の、年の夜に、「泊めてくれ」と言って、この家にいらっしゃったら、この金持の、金持の家に行ったらもう、「こんな年の夜だから、お前を泊めることはできない」と言って、この神様を馬鹿にしてね、馬鹿にしたのでこの人はわざわざ戻っていって、そこの隣のまた、昔の戸口はわらを編んでひもでさげていたってよ。戸口をあけてそこへ行って、「泊めてくれ」と言って、この爺さん(神様)一人だけだが、そういうと、「こんな汚ない家で、私たちもこんなにして……。正月の年の夜だけど、肉を少しも買うお金がないのでこのように火正月をしてる。」と言って火にあたって、夫婦で座っていたので、この人は、何もかも、お金もあげて、また、「肉(を買って)正月を越しなさい」と言ってお金もあげた。こんなにしながら、また、「ここに、あなたを泊めることは……。敷物もなく、私たちは、(今)自分たちが敷いているこれしかない」と言うと、「どこでもいい」とおっしゃったので、自分たちが敷いている敷物をこの人に敷かせて、自分たちは、すぐそのままで寝た。早朝に一番鳥が鳴いたので、(神様は)起きて、「お湯をわかしなさい。大きい鍋でお湯をわかしなさい」と言ったので、この年寄り二人が、お湯をわかしたら、この人はまた、薬を鍋に入れて、「さあ、これでこんどは、若水で浴びなさい」と言って、「若水で浴びたら、若くなるから若水で浴びなさい」と言った。そう言ったので浴びたらもう、すぐ若者になってよ。もう十七、八みたいな若者になった。この神様がこんなにしてくれた。貧乏だった年寄りが、こんなに若くなって、衣裳もまた、神様から上等な衣裳を着せてもらって、夫婦とも着て、装ってとなりの、この神様を泊めるのを断わった、この金持の家へ行ったので、「どうしてこんなになったのか」と、珍しがって、「俺たちもこんなにしてくれ」と言ったので、この神様は、この金持の家にいらっしゃったわけさ。いらっしゃったので、「俺たちもこんなにして下さい」と。「若くして下さい」と言ったので、この神様は、「朝早く大きな鍋にお湯をわかしなさい」と言った。それで、お湯を沸かしたら、これたちを、もう、この人は神様だったのでいたずらなされて、雀になる薬を入れて、「これでみんな浴びなさい」と言ったので、これでまた浴びたら、みんな、「チャッチャッチャッ」と鳴いて家中バーバ飛んだってよ。この金持の人たちは。こんなような昔話をしよったよ。