ウンサガナシ蛸こわい
語り手は伊是名村字諸見の野村朝清さんです
【梗概】
キジムナーとは、本島ではキジムナーといい、伊是名諸島においては、これをウンサガナシーと呼んでおる。時たまこれにアカカナジャーともいうておる。このウンサガナシーは人とよく交際もやるというお話もあります。
昔、あるところにこのウンサガナシーが毎晩のように来て、「友達(どぅせー)い、友達い。今日(くー)や潮(す)ぅ干(そ)ぉしが海(うみ)んかい行(い)かに。(友だちよ、友だよ。今日は潮が干いているけど、海に行かないか)」と、言うて、この人をせきたて励まして漁に行った。「友達(どぅせー)い、友達い。(友だちよ、友だちよ)。友達(どぅせー)い、友達い。ティアチャー(タコ)や取(とう)えーありしんどーやー。(友だちよ、友だちよ、タコは取らないでよう)。」と言ったので、その人はティアチャーを取って投げたそうです。するとウンサガナシーはたちまちのうちに姿を消して見えなくなったそうですが、すぐその人の家に行って寝ておる妻子の目玉を抜き捨てて帰ってくると、「友達(どぅせー)い、友達い。貴方家(おらやー)んけー行(い)じん見(み)い、今(なま)貴方達家(おらたやー)や歌(うた)三味線(さんしん)弾(ひ)ち、祝事(すーじ)すさ。(友だちよ、友だち、あなたの家に行って、見てごらん、今あなたたちの家は歌や三味線をひいて、お祝しているよ)」と言ったという話があった。この人は、ウンサガナシーの言ったことが、おかしいと思ってすぐ家に帰ってくると、妻子(つまこ)の目を投げ捨ててあった。
こちら(伊是名)にウンサガナシー、キジムナーがおるかと思えば、台湾方面の港(みなと)々にウンサーガナシがよく見えというお話があります。船人たちはウンサガナシーの番をするために港に残って置くというお話もありますが、それは事実かどうか私たちには判定もつかないところがありますが、そういうことがあるということをよく話しております。以上、キジムナーについてのお話はこれで終わります。
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