沖縄伝承話データベース

小浜島の猿長者の語り

登野貞さん(竹富町小浜)

登野貞さんは、1902年1月4日に八重山郡竹富町小浜に生まれました。 聞き手は、沖縄県口承文芸学術調査団の井上さんと大宜見さん、1976年8月4日の記録です。

【共通語】

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【語りの梗概】

昔、ある所で、近くに裕福な金持ちがいて、また隣りには、子供もない爺さんと婆さんが二人で住んでいたそうだ。ある年の大晦日の夜、その金持ちの家に神様が乞食の姿をしてあらわれ、「あなたの家で宿を貸してください。」と頼んだが、その家の人は、「今夜は大晦日の夜だからそんな乞食のような者に貸せない。早く帰れ。」と追い払ったそうだ。その乞食は、追い払われてまた隣りの爺さん婆さんのいる家を訪ねて行って、「今夜一晩どうか宿を貸してください。」と頼むと、「どうぞ、お入りなさい。こんな汚い家でも一夜の出会い、いっしょに私どもと過ごしましょう。」と言って火をパチパチと燃やしながら、「私ども二人は貧乏で、食べ物もなくこのように火を燃やして囲んでいるのです。」と言ったと。その乞食のような爺さんは、実は神様で、「そんなら鍋をかけなさい。」と言ったので、鍋をかけると何かを持って来て、その鍋に入れたといろんなご馳走がだんだんその鍋いっぱいになってきたと。「さあ、食べなさい。」と言ったのでそれを食べ、その夜は寝たそうな。爺さんと婆さんが起きてみると、その翌日の朝に、二人は若返り、十七、八の青年、少女になった。

隣りの裕福な人は、金持ちの人は不思議なことだと思って、「どうして、お前たちはこんなに若返ったのか。」と尋ねたと。「いやいや、昨夜珍しい乞食のような人が来て、私どもに振舞いを準備して食べさせ、寝て起きてみると、こんなに若返ったのだ。」と答えたと。「ヘええ、その人はどの辺りに行ったか。」と尋ねると、「いや、そんなに遠くへは行かないだろう。そこら辺りにいるだろう。」と言ったので、追いかけて行ってその人を呼び戻して来て、「どうか私たちの家においでください。」と頼んだら、その神様は、また戻ってその家に来て、「では、鍋をかけなさい。」と鍋をかけさせ、それにいろんなご馳走を準備させて、家族全員で、それを食べなさい。」とそのご馳走を食べさせたら、その翌日になってみると、全員犬になり、猿になり、いろんな鳥になり、いろいろな動物になって、その家の人は誰もいなくなったって。だから、その隣りの若返った爺さん婆さんが来て、その金持ちの家の財産を全部いただいたって。

そんなことで、犬は羨ましいと人が食べ残したものを置いたら、下を見る。また食べ終えると口元を見る。猿はまたその家に来て、礎石に坐ったので、それで、この爺さん婆さんは毎日それが来て坐ったら困ると、それの坐る所に火を置き、焼いておいたので、その猿は来て坐ったときに尻を焼かれ、赤くなっているって。

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