フランスの祭りと暦

フランスの祭りと暦
マリ=フランス・グースカン 著、樋口淳 訳|原書房|定価2,200円

フランスの春の祭りには、二つのタイプがあります。

一つは農村の祭りで、小麦や葡萄の豊かな収穫を願う「豊穣祈願の道行き」です。 十字架や旗を先頭に、聖遺物の乗った御輿をかついで、畑をまわり祝福をさずけて歩くのです。

もう一つは都市の祭りで、大きなドラゴンの山車をひいて町を練り歩き、聖人による龍退治を再現して、町の歴史を思い起こし、町のケガレを祓うのです。

その他に、忘れてならないのは、五月の柱(メイポール)をたてて祭りを祝ったり、子供たちの五月の女王(メイクイーン)を選んで、祝福の道行きをしたりする民俗です。

グースカンは、パリの民俗学博物館の学芸員として、精力的にフランスの都市の祭りの記録と保存につとめています。

日本の民俗学の研究者にも、ぜひ読んでもらいたい、示唆に富んだ仕事です。