恩曽川のかっぱ

厚木のむかしむかし絵本
樋口淳 文・西山三郎 絵|厚木市中央図書館・企画|定価1,000円

厚木の図書館の司書のみなさんと協力して作った絵本シリーズです。

白山を水源地とする恩曽川は、打越、八ツ橋、温水と下って相模川にそそいでいます。

いまは護岸工事のためにすっかり川筋を変えてしまいましたが、むかしは水量も豊かで、田仕事に欠くことのできない流れでした。

子どもたちは、浅瀬でウナギや小魚をおさえて遊び、夏には終日、水浴びをして暮らしたそうです。

しかし、こういう深い淵には河童が出るといって恐れられていたのです。

河童は、小さいけれど力の強い水の精で、時には馬を川に引き込むこともあります。

相撲が強く、普通の人はとても相手になりませんが、頭の水がこぼれると途端に弱くなると言われています。

しかし、こうした悪戯話のほかに、河童が田に水を引いたり、雨乞いをしたりして、人を助けた話が各地に伝えられています。

河童は、日照りや大水から人びとを守る神聖な水の神でもあったのでしょう。

この話は、上古沢の永島フサさんの語りから生まれました。

子どもの頃から話好きだったフサさんは、囲炉裏の端で縄をなうお爺さんの語りに耳をすませて育ちました。

この話に登場する片葉の葦は、つい最近まで恩曽川のあちこちに生えていたようです。

それは、きっと水の神としての河童の棲家をしめすもので、人間にみだりに近づかぬように警告していたのだと思います。