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【語りの梗概】
百合若がどこから来たかは知らない。ただ、百合若が率いる船は戦争帰りであったらしく、飲み水がなくなったので水納島に立ち寄った。水納島には一泊する予定であったが、百合若をねたましく思っている家来達の策謀で、寝る時も起きる時も一週間以上という百合若は、寝ている間に置き去りにされた。帰ることのできない百合若は、海の中のアサリを採って暮らしていた。6尺の刀が5寸になるまで使って、そこで暮らしていた。その頃、妻が放した鳥が手紙を持って飛んできた。百合若は妻の手紙を読んで、返事を書こうとして、自分の腕を切って、したたる血で書く。その返事を鳥に持たせて鳥を飛ばしてやると、しばらくして酒やご馳走を持ってきたが、鳥は嵐で墜落する。百合若は鳥の死骸を見つけると、山に持って行って葬ってやる。そこを鳥塚という。ある日、水納の浜を歩いていると、船が見えたので東の干瀬へ行って助けを求めるが届かない。そこで口笛を吹いて呼ぶと、ようやく助けてくれる。そこをクチビシ(口干瀬)という。百合若は無事に自分の故郷に帰る。そこで王様を前にして、百合若は家来達と弓を引き勝負していた。百合若は、家来は誰一人として弓を引くことができない。百合若は名を名乗らず、自分たち平民にも弓を引かさせてくれ、と王様にお願いする。王様は何名かの平民の参加を許す。百合若は髪もボロボロ、服もボロボロの格好をして王様の前に出て、冷笑する家来達に向かって弓を射って、殺した。