照葉樹林文化圏の食文化

樋口淳|日本民話の会・研究会パワーポイント

照葉樹林文化圏は、中国雲南省から長江を下り、琉球列島、韓国・朝鮮半島南部を経て、日本列島中部まで広がる生態系を同じくする文化圏です。

照葉樹というと、ちょっと馴染みがありませんが、椿や山茶花やお茶や金木犀などの肉厚で表面がツルツルした葉を持つ樹木のことで、私たちの身の回りでよく見かける樹木です。

この照葉樹林帯に見られる衣食住と口承文芸(民話)の広がりは、1970年代の日中国交回復を契機に雲南省調査に入った文化人類学や民俗学の研究者を驚かせ、いわゆる「照葉樹林文化論」が、研究者たちの間で大きなブームを生むことになりました。

現在では、考古学的な発掘調査や遺伝学の進展によって「照葉樹林文化論」をそのまま取り上げる研究者の数は減りましたが、やはり魅力的な仮説であることは間違いありません。

とくに味噌や醤油や塩辛のような発酵食品の文化、高床式で入母屋造りの家屋や囲炉裏や家の神の祀り方、村の入口を守る鳥居の存在など、この文化圏の共通した性格には、驚かされます。

今回のレポートは、こうした衣食住の文化の話に終始してしまい、民話について語ることを忘れてしまいましたが、次回は「照葉樹林文化圏の語りの世界」について報告したいと考えています。

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