サンタクロースの伝承と民俗

現在では、世界中の大人も子どもも、サンタクロースがトナカイの橇にのって、12月24日の夜(クリスマスイヴ)に、大きな袋にプレゼントをつめて、煙突からやってくることを知っています。

たとえ暖炉や煙突がなくても、12月24日の夜に枕元に靴下をかけておけば、かならずプレゼントが届けられます。

しかし、つい30年くらい前までは、ヨーロッパの国々では、子どもたちがサンタクロースからプレゼントを貰うのは12月6日の夜でしたし、サンタクロースはトナカイの橇になんか乗っていませんでした。

サンタクロース(聖ニコラウス)は、もとはといえばキリスト教の聖人で、司教でしたから、ちょっと前までは、いかめしい司教の冠をかぶり、立派な杖をもって、司教のコートを着て、魔物のようなお供をつれてやってきたのです。

サンタクロースのルーツは、地中海に面したトルコのアナトリア半島にあったギリシャの植民都市ミュラの司教でした。

その死後しばらくして、聖なる遺体がイタリア南部の港町バーリに移葬され、さらにその聖なる遺骨の一部がフランス・ロレーヌ地方のサン・二コラ・ド・ポールに運ばれ、その信仰がライン川を下り、アムステルダムまで辿り着いたのです。

この長い旅のあいだに、サンタクロースは、さまざまな伝説や祭りを生み出しました。

そして最後に辿り着いたアメリカ大陸のオランダ植民都市ニューアムステルダム(ニューヨーク)で、デパートの歳末商戦と結びついて、カラフルなパッケージのクリスマス・プレゼントが誕生したのです。

この報告では、このサンタクロースの長い旅と、伝説と祭りについて語っています。