韓国昔話集成・全8巻

韓国昔話集成・全8巻
崔仁鶴・厳鎔姫著 鄭裕江・李健煕訳 樋口淳・斧原孝守 解説|悠書館|定価各2,500円

韓国・朝鮮の民話700話あまりを動物昔話・本格昔話・笑話・形式譚というアールネ・トンプソンの国際的な話型分類にそって整理しさらに神話的昔話を加えた本格的な韓国民話分類カタログです。

崔仁鶴先生のこの分類によって、韓国・朝鮮の民話は初めて初めて国際的な比較研究の対象となりました。

崔仁鶴先生の韓国・朝鮮民話の話型研究は、1975年に東京教育大学に提出された博士論文を基礎に1976年に刊行された『韓国昔話』(弘文堂)に遡ります。

この著書には、アールネ・トンプソンの国際話型カタログと日本の関敬吾による『日本昔話集成』との対照によって完成された韓国・朝鮮民話の整然とした話型カタログが準備されていました。

そこには韓国・朝鮮民話の資料と語り手・記録者に関する正確な情報が収録されていましたが、たいへん残念なことに、対象となった語りはモチーフとエピソードごとに分類された梗概のみに留まっていました。

そこで、崔仁鶴先生と夫人の厳鎔姫さんは、2003年5月に韓国昔話集成話型と類話の数を補強し、全815話型に704話の類話と関連資料を付して本書の韓国語版原著を刊行されました。

日本語による韓国・朝鮮の民話集には、崔仁鶴先生の『朝鮮昔話百選』をはじめとしてたいへん優れたものが少なくないのですが、韓国語を理解しない日本の民話研究者が韓国・朝鮮の民話の全体像を知るためには、どうしても本書の日本語版が必要でした。

そこで2010年初頭頃から翻訳刊行チームを作り、なんどかメンバーを入れ替えながら、10年ほどの歳月を経て完成したのが本書です。

原書は全5巻ですが、日本語版は全8巻となりました。

各話ごとに可能な限り解説を加え、時には崔仁鶴先生と相談の上で、資料を補ったものもあります。

この困難な翻訳作業を支えて下さった崔仁鶴先生と悠書館社主の長岡正博さんに深く感謝します。