韓国民話の森

鬼神・トッケビ・妖怪・変化の民話
崔仁鶴・厳鎔姫 編|樋口淳 解説|定価980円

韓国民話の世界には、鬼神とトッケビの話のほかにも、恐ろしい九尾のキツネやイムギという大蛇や大ムカデなど、不思議な世界の妖怪たちがあふれています。

本書では、崔仁鶴と厳鎔姫の夫妻が編んだ『韓国昔話集成』(悠書館)のなかから、韓国の不思議な世界の住人にまつわる怖い話や愉快な話を選びだしてみました。

まず鬼神とトッケビは、語り手たちのあいだで、時に混同されますが、まったく別の存在であると言ってよいでしょう。

鬼神は、祖先祭祀を受けることができず、恨みを残してこの世を去った死霊で、自分たちを蔑ろにした子孫に激しく祟ります。

これに対してトッケビは、日本の天狗やカッパに相当する妖怪で、人に相撲を挑んだり、漁の邪魔をしたりする悪戯者ですが、あまり悪意はなく、宝物を貯えていて、時には人に授けます。

しかし、なんと言っても恐ろしいのは、九尾のキツネのような妖怪・変化で、日本のキツネやタヌキとは次元の違う力を発揮して、人に襲い掛かります。

ニワトリのような家禽も、年を経ると変化し、大ムカデと組んで人に襲い掛かることがあります。

このような、韓国民話の不思議な話を、ギュッと集めて、解説を加えてみました。