寺田恕子・樋口淳 訳|樋口淳 解説|定価980円
1690年代に、さまざまの形で刊行された「ペロー民話集」の翻訳です。
ヤヌス・グラビアンスキーの素晴しい挿絵を用意しました。
コルベールの片腕としてルーヴルやヴェルサイユ宮殿の建設に力を発揮したペローは、最晩年の1691年に「グリゼリディス」を韻文で公表したのを皮切りに、サロンの女性たちや家庭の子どもたちのために、「赤ずきん」「眠れる森の美女」「サンドリオン(シンデレラ)」「長靴をはいた猫」「青ひげ」など、世界中の大人も子どもも、誰でも一番よく知っている民話を次つぎと刊行します。
当時は、「妖精物語」というジャンルが、女性たちの主催するサロンで大流行しましたが、その多くが忘れられるなかで、ペローが公表したわずか11篇の話は、今日に至るまで、私たちの民話の世界に生き続けています。
とはいうものの、ペローの民話ほど、原作がないがしろにされた作品はありません。
というのは、当時から民衆の間で愛された「青色文庫」という行商の売り歩いた冊子や、児童文学全集のような簡略版のおかげで、リライトにリライトを重ねられ、原テキストがすっかり形を変えてしまうことすらあったのです。
そこで私たちは、ペローの原話に忠実に、しかも子どもや大人に親しみやすい形で、翻訳を試み、ペローの原話の特徴を明かにするために、一つひとつのお話に解説を付すことにしました。
カラフルな グラビアンスキ―の挿絵とともに、ペロー民話の世界を堪能してください。